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2004年8月

左手に告げることなかれ

 人類、右利きが多いことからしても右手はよく働いてくれているものだと思っている。しかし、それに引けを取らないくらい左手もよく働いているのではないかと、最近思うに至っている。それは左手にした結婚指輪がよく傷つくことからしてそう思う。右手が主たる働き、つまり、ものを書いている、掴んでいる、などしている時に、左手もものを押さえていたり、探していたり、何かしら働いている。そしてその時に左手はあちらこちらにぶつかっている。それは思いもよらぬ時と場所と状況で起きている。ぶつけようと思っているはずはなく、またぶつかるとも思っていないにもかかわらず、よく左手はものにぶつかっている。気づいた時にはすでに金属音が響いている。ガリッ、シュッ、コツン、ギィ。慌てて左手を引いたり、動かしたりすると、また違うところにぶつけることもある。こうして僕の結婚指輪は誓いの言葉を交わした日から2ヶ月の間に数あまたの傷がつくことになった。思えば誓ったその日から傷はついた。新しく、輝いた指輪の光が曇らぬように、傷つかぬようにと気をつけていたにもかかわらず、容赦なく難は降りかかった。これは神の仕業なのか、また別の何者かが右手の働き振りを左手に告げたからなのかはわからない。幸い、指輪を購入した店は俄かについた傷を含めて、一度限り無料で磨きをかけてくれる。そのサービスを受けるかどうかはまだわからない。一つ一つの傷が生活の証であり、歴史であり、二人の絆を意味しているようで、その傷や輝きのくすみをきれいにすることがよいことなのかどうか。やはり貴金属は輝きなのだろうか。そうは言っても元々、貴金属の価値は人が決めたもの。輝いていようが、傷ついていようが、人それぞれというところか。しかし、見た目に囚われる世の流れとしてダイヤモンドのように傷つかず、輝いていることが望まれる傾向があるように思う。ならば、新婚の皆さん、右手がよく働くほどに、左手をぶつけることなかれ。さらば、指輪は傷つかぬ。

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日本の車中から 「ミエ」

♪たらったったったた~ららた~ら♪
~今日は車内の様子をご覧ください~

 列車が走るのは、首都東京へ向かう湾岸沿い。
東京湾に沿って進む列車は房総から都心へと弧を描いて進みます。
開けた場所に出ると、青い海が一望できます。
航跡を残して進む漁船や、空には静かに進む旅客機を見ることができます。
その光景は、夏休みの今、行楽や仕事に向かう人々に気持ちを高めてくれます。
 一方、車中では一人歌舞伎が演じられています。
小さな手鏡を覗きこみ、頬紅やら口紅やらで化粧を整えています。
時折、手を止め、口を半開きにして、顔を上下左右に振り、鏡を見ます。
きちんとバランスよく化粧できているかの確認をとっているのでしょう。
傍から見るとその様は見得を切っているかのようです。
「見得を切る」とは、自信のありそうな態度をとること、だそうです。
化粧がうまくできているかはわかりませんし、本人も自身なさそうです。
あたかも外見・うわべを実際より良く見せようと見栄を張っているように見えます。
「見栄を張る」のは他人の目を意識してのことと思いますが、
車中で化粧をする女性にはそれがまったく気にならないようです。
 今度、化粧映えも怪しく見栄を張っている姿を見かけたら、
携帯カメラのシャッター音を聞かせつつ、
「よっ!別嬪さん」と掛け声をかけてみようと思います。
おそらくそれを受けて、その女性はキッと睨みつけてくるでしょう。
そうそう、それが見得を切るってことですね。
大げさな表情で不快感を示されても、見ている側も不快です。
そうして見栄を切られても、乗客が更なる見栄を切り返しながら、
列車は東京駅を目指します。

次回は車中での無駄毛処理をご堪能ください。

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